
「ダンスが上手くなるために、筋トレしなきゃ、ストレッチしなきゃって思うんですけど、続かないんです。」
ダンスを教えていると、生徒さんからこんな相談を受けることがあります。
筋トレやストレッチ、ランニング、勉強や読書など、コツコツ毎日続けられたらいいなって思うこと、ありますよね。
最初の2日くらいは、「頑張るぞ!」と意気込んでいても、3日坊主になったり、それを乗り越えてもいつの間に辞めてしまっていたり…。続ければ良い結果が得られるとわかっていても、「継続する」というのはそれ自体とても難しいことだと思います。
ちなみに筆者(うぽる)は、一昨年の1月から「家事をするときは英語ニュースのシャドーイングをする」というのを始めて、もう1年以上続いています。
仕事柄トレーニングやストレッチは毎日やっていますし、通信制大学を卒業できたのも、勉強習慣が4年続いたから。
何かを習慣に変えることはわりと得意な方かもしれません。
今回は筋トレやストレッチなど、身体作りの事例を主に扱いますが、「何をやるか」より「どうやって続けるか」にフォーカスしてお話しするので、「勉強や読書の習慣をつけたい」といった方にも、ヒントが見つかると思います。
◆「欲しい結果と習慣」を整理する
筋トレしなきゃ、ストレッチしなきゃ、ランニングしなきゃ。
そもそもなぜ、それを「しなきゃ」とか「習慣にしたい」と思ったのでしょうか。
「ランニングをして痩せたい」
「筋トレをしてスタイル良くなりたい」
「ストレッチをしてダンスが上手くなりたい」
「単語を覚えて英語を話せるようになりたい」
いろいろあるでしょうが、全てに共通しているのは
「ある習慣を続けて、素敵な自分を手に入れたい」
と思っているということですよね。
あなたはどんな結果が欲しいですか?
そのためにどんな習慣を付けたいですか?

◆欲しい結果から完璧な習慣は割り出せる?
たしかに、ランニングや筋トレを習慣にすれば、カロリーを消費しますし、基礎代謝が上がって、結果的に痩せますよね。
では「毎週末に1時間のランニングをしたら、半年後に何kg痩せているか」と聞かれたら、あなたは正確に答えられますか?
……おそらく難しいですよね。
パーソナルトレーニングのトレーナーについたり、専門分野の論文を読んだり、成功した人の体験談を読んだりすれば、ある程度は予測できるでしょう。
でも、身体はひとりずつ違います。意思を強く持っても、サボることもあるでしょう。
ダイエットでも、成績アップでも、正確な予想をするのはそもそも不可能なのです。
でも、「何kg」痩せるかはわからなくても、「運動すれば痩せる」ということはわかります。
(実際は食事制限もしないといけないでしょうが、いったん話をシンプルにするために、このように考えてください)
英語の勉強をして、1年後にどれくらい話せるようになっているかはわからなくても、「やらないよりはやった方が、英語力は確実に上がる」ということはわかります。
「そんなの当たり前じゃん」と言わずに、いったんこのことを頭に入れてください。
欲しい結果を実現するために、タスク量を正確に割り出そうとすることには、実は意味が無いのです。
◆「何をやるか」より「どう時間を確保するか」
腹筋の筋トレをやるのと、腕立て伏せをやるの、どっちが良いかな?
開脚ストレッチをやるのと、前屈をやるの、どっちが良いかな?
ついつい人はこういったことで迷ってしまいがちです。
実際、生徒からこのような質問を受けることもあります。
効率を考えたり内容を考えたりするのも、それはそれで大事なこと。
質問があれば気軽にしてください。その人に合ったトレーニングを、一緒に考えます。
でも、それよりもっとずっと大切なことがあります。
それは、「そのための時間を確保すること」です。

何のトレーニングをするべきか迷って、決められないままに1ヶ月経つ人と
非効率ながら、間違いながらも、毎日10分トレーニングの時間を確保した人。
どっちが成果を上げるかといったら、考えるまでもないですよね。
前者は1ヶ月で0時間。後者は1ヶ月で5時間もトレーニングできているんです。
どんなに非効率なことをしたとしても、やらないよりはやった方が前進しているに決まっています。
「何をやるべきか」考える前に、「どうやって時間を確保するのか」を考えましょう。
◆「とりあえず5分、やってみよっかな~。」を口癖にする
「時間を確保するのが大切なのはわかってる。でも、やらなきゃやらなきゃって思いながら、気づくと夜になってるんだよね…」
そんな時に、必ず今すぐ行動できる、魔法の言葉をご紹介します。
「とりあえず5分、やってみよっかな~~。」です。
なるべく力なく、ゆる~~く言うのがポイント(笑)

これを唱えてから、なるべく気合いを入れないようにして(笑)、負荷の軽いものを、しれ~っと、ゆる~っとはじめてみてください。
筋トレなら、自分が楽~にできるくらいのメニューを休憩多めでやる。
ストレッチなら、とりあえず身体をぶらぶらと緩めてみる。
読書なら、エッセイ調の読みやすいものを読む。
そんなラクラクな内容を選びましょう。
そして、本当に5分で、一度ストップしてみてください。
こんなときでも、自分との約束は守りましょう(笑)
自分の心に聞いてみて…
「まじでもうやりたくない」と思ったら、その日はもう終わりにしましょう。
きっと明日は今日よりラクにスタートできます。
ほんの少しでも「あと5分やってみてもいいかな」と思ったら、あと5分、追加してやってみる。
「あと5分、あと5分」が、気づいたら30分になってた。なんてことがあったら、儲けものです!
自分のことは、上手にだましましょう。
◆目標の数値指標を決めよう
ところで、あなたが続けたいその習慣、どんな単位で考えてますか?
毎日10分ストレッチ?10ページ勉強する?10回腹筋?
もちろん自由に決めれば良いことですが、筆者のオススメは「◎分」「◎時間」など、時間を単位にすること。
「何をやるべきか」より、「どう時間を確保するのか」が大切とお伝えしました。
今は軽い腹筋10回を10分かけてやったらヘトヘトかもしれませんが、数ヶ月後にはそれでは物足りなくなって、10分あれば、もっと高負荷の腹筋を30回できるようになるかもしれません。
今の自分に足りないのは、腹筋よりも大臀筋だと気づくかもしれません。
内容を柔軟に変化させられるやり方で目標を決めておくのも、継続できるひとつのコツです。
◆まとまった時間が必要なものは、先に予定を入れる
達成したい内容によっては、10分などの細切れな時間ではなく、まとまった時間が必要なこともあるかもしれません。
レンタルスタジオで個人練習するんだったら、移動時間を含めて最低3時間欲しいですよね。
「毎日ちまちま運動するより、週に2回くらいしっかり汗かく方が好き」という人もいるでしょう。
その場合は「とりあえず5分、やってみよっかな~~。」という無計画なやり方では、時間が確保できなくなってしまいます。
「いつでもいい」と思っていると、その日はいつまでもやってきません。

そんな場合は「誰かと約束をする」感覚で、「自分自身と約束をする」のがオススメです。
月の初めに、今月の練習日を全部決めてしまうというようなやり方もいいですね。
自宅で練習できる人も、あえてレンタルスタジオを予約すると、サボる言い訳を断ち切れます。
◆目標はあくまで「心のお守り」
「欲しい結果から完璧な習慣は割り出すのはそもそも不可能」という話をしました。
筆者はダンスを教えるプロなので、「この生徒さんに、この内容を教えて、これくらい練習期間を用意したら、、これくらい上手になる」ということを、ある程度予想することができます。
でもあくまで「ある程度予想できる」というレベルなのです。
予想外に苦戦して時間がかかる生徒もいますし、かと思えば、最初はあまり期待していなかったのに破竹の勢いで成長する生徒もいます。
プロの指導者でさえこうです。自分も同じ道を通ってきたのに、完璧な予想をすることはできません。
ダンスの初心者が「1年後に自分がどれくらい踊れるようになっているか」を予想できないのは当たり前ですし、「1年後にこれくらい踊れるようになりたいから、これくらいの量・頻度で練習をしよう」というのは更に困難でしょう。
「こんな風に踊れるようになりたい」
「痩せてこんなスタイルになりたい」
「これがラクラク踊りきれる体力がほしい」
そういった具体的な目標があるのは、とっても素晴らしいことです。
くじけそうなとき、めんどくさいという思いに支配されそうになったとき、そういったキラキラした目標は、きっとあなたを「辞めてしまう」という結末から救ってくれます。
要するに、そういった目標は「心のお守り」なのです。
「達成しなければいけない絶対的な指標」ではなく、「心のお守り」として捉えること。
そうすれば、1年後、目標のようなダンススキルに到達していなくても、イメージしたスタイルになっていなくても、「予想が外れたな。でもまだまだ続けてみよう!」と思えるはずです。
◆どうしても達成したいことがある!一世一代の勝負なら、プロに併走してもらおう
とはいえ、「半年後にデビューが決まったアイドルです。絶対に30曲踊れるようにしないといけません!」とか、「絶対に受かりたいオーディションに出会ってしまいました」とか、「2ヶ月後に5kg痩せていないと解雇って言われちゃいました…」とか、そういった切羽詰まったシチュエーションなら、「心のお守り」なんて悠長に言ってる場合ではありません。
それは絶対に叶えないといけないミッションなります。迷わずプロのトレーナーや先生を探しましょう。
プロの指導者は、精度の高い予想を立てて、共に走って、ペースを見て、「もっとペースをあげないと間に合わないよ」とか「こっちを優先的に練習しよう」とか、伝えることが出来ます。
ひとりで走るより、確実にゴールに到達できるはずです。
◆今回のざっくりまとめ
「何をやるか」より「どう時間を確保するか」
「とりあえず5分、やってみよっかな~。」で、自分を上手にだます
目標はくじけそうになったときの「心のお守り」
何かを「継続したい」「習慣にしたい」と思ったとき、ぜひ実践して欲しい大切な考え方を提案してきました。
でも実は、今回の内容だけでは足りません。
人間は感情の生き物です。
いくら頭で「こうするべきだ」とわかっていても、なかなか行動に移せない。
頭でわかっていても、心がついていかない。そんなときもあると思います。
次回の記事「継続できる人は自分を上手に甘やかせる人?筋トレ・ストレッチ習慣で自分にいいねボタンを押そう」では、自分の心を味方に付けながら、心地よく継続できるようになる、そんな方法や考え方をご紹介します。
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